日本には大量の発行部数を誇り、自宅に直接度届ける形式が主流の大規模新聞社、地方紙と、コンビニや書店等で購入されることがメインの中小雑誌、特定の政党の支持者などが購読する機関紙の3種が紙媒体のメディアとして存在している。この3種類のメディアは取材方法も組織も全く異なる。
大規模新聞社は組織そのものが非常に大きく、各省庁や役所、機関に設置された記者クラブなどを通じて情報を入手し、その入手した情報をまとめ報道する。また、スクープや特ダネと呼ばれる一面を飾れるような情報や論説の違いで他の新聞社との差別化を図り、新聞を売っている。例えば朝日新聞は左派的論調で左派系の購読者を獲得し、対して産経新聞は比較的保守寄りの論調で購読者を獲得している。また、日本経済新聞のように経済に重点を置いて経営者やビジネスマンの購読者を獲得している。
中小雑誌は基本的には記者クラブに所属せず、読者からの情報や記者の独自取材を基に部数を獲得できる雑誌を刊行することが中心だ。組織は大規模新聞社に比べれば決して大きなものではない。発行規模などによってもその組織の大きさはバラバラだ。その他にも特定の専門家などを使った独自のコラムなどで他誌との差別化を図る。
機関紙は政治団体の情報発信が主たる報道内容である。日本共産党のしんぶん赤旗のように日常生活に深く関わる一般のニュースを報道することもあるが、希少な例だ。政治上の問題についてのスクープなどを入手し、報道することで政治団体の宣伝をすることもできる。政治思想や政治団体の政策によって差別化を図っている。組織は政治団体の規模にほぼ比例する。全国に何万と党員のいる政党は当然大きな組織であり、全国でも数百人規模の政治団体であれば団体の首脳部のみが編集・発行に関わる。
現在の日本で新聞といえば大規模新聞社のことのみを指すのが一般的であり、メディアという表現でも中小雑誌や機関紙は含まれることが少ない。そのため、大規模新聞、特に主要5紙と呼ばれる読売、朝日、毎日、日経、産経が取り上げない記事があるとその記事を取り上げてほしい人々からは不満の声が上がる。
大規模新聞は新聞社にもよるが朝刊は約30面ほどで構成される。そのうち1面は確実にテレビ欄と呼ばれる地上波で放送されるその日の番組構成についての表で埋め尽くされてしまう。さらにもう1面を使ってBS放送、CS放送の番組表が構成される。この場合、残りは28面だ。その上株価の変動があった次の日は株価の変動を記した表で2面を使う。残りは26面となる。ここから新聞社の貴重な収入源となる広告で4割を使用したとする。残りは15.6面だ。この15.6面に国内、国際の政治・経済の動向、スポーツの結果、地域の出来事、社説、論説、連載新聞小説、連載漫画などを掲載する。そうすると確証の低いような特ダネは扱うことができず、確証を手に入れることができた情報のみしか掲載するスペースがない。そのため、世論で騒がれる疑惑などを新聞社が最初に報道することはできないのだ。
しかし、中小雑誌はページ数は発行が可能であれば何ページでも可能だ。仮に100ページ(見開き50ページ)と仮定し、目次で2ページ、発行者情報で1ページを使用するとする。残りの97ページから広告を同じように4割に該当する38.8ページを差し引く。残りは58.2ページになる。ここに連載記事などを掲載する。連載記事を掲載すれば残りのページは自由に使える。そこでより雑誌が売れるように確証の薄い疑惑を取り上げることができる。
政治団体機関紙も同じで8面と仮定し、4割に該当する。3.2面分を広告に使用する。残りの4.8面には連載や政治団体の声明を掲載し、残りが空く。そこに政治運動の中で得られた特ダネを掲載することができる。
つまり、紙媒体においては大手新聞社は掲載する情報が多いために特ダネや疑惑などを追及するスペースの確保が困難であり、中小雑誌や政治団体の機関紙のように疑惑について取り上げ、追及することができるのだ。
もちろん大手新聞社も確証の得られた重大な情報については一面を割いて公表する。大手新聞社が取り上げないのは確証が得られないことによって誤報を発した場合に信用問題に発展し、部数の低下が懸念されるためだ。新聞社も私企業であり、利益を追求する。その中でいかに社会的に有益な情報を発信できるか、信用を維持できるかにかかっている。
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