航空業界やホテル業界などで導入される「ダイナミック・プライシング」が広がりを見せている。ダイナミック・プライシングは「価格変動制」と度々訳され、需要に応じて価格を変動させる時価スタイルの販売方法だ。
会長・元谷外志雄氏の保守的言動で度々話題になるホテルチェーン「アパホテル」はこのダイナミック・プライシングを活用して躍進をしている。令和五年度の決算報告ではアパホテルなどアパグループの売上高は一九一二億円、純利益は三七三億円と過去最高収益を達成、令和六年には大幅な給与のベースアップをしていることも判明した。
近年ではNPB(日本プロ野球機構)に参加するプロ野球チームでもダイナミック・プライシングを採用する企業が増加している。史上最年少で完全試合を達成した佐々木朗希投手などで知られる「千葉ロッテマリーンズ(千葉市)」はダイナミック・プライシングを採用している企業の一つだ。試合日に登板が予想される投手や、チームの順位に応じて価格が変動する。また、同じランクに分類される席でも通路側や人気の席などに応じて価格を変動させ、チームの増収に力を入れている。
一方で消費者から見れば、航空業界・ホテル業界での導入は費用面の負担も大きく、批判の声もある。
食品など生活必需品でのダイナミック・プライシング採用は困難だが、プロ野球のようにサッカー・舞台劇などのスポーツ・芸術などの分野での採用や、鉄道の特急料金、新幹線料金など特異日の需要が見込める分野での採用、居酒屋など一部の飲食店での週末料金の採用など、幅広い分野の採用が期待できる。
当初は消費者の負担も増加するが、社会全体の収益増加に伴い、給与の増加も期待ができる。原材料、特に石油などの輸入品目の価格高騰を理由としたインフレではなく、日本国内が好景気に伴う価格高騰は高度経済成長期と同じ日本経済を大きく成長させることができる。
ダイナミック・プライシングがどのように浸透し、日本経済にどのような影響を与えるのか、今後も注目したい。
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