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執筆者の写真日章新聞

日経平均がバブル経済以降の最高値 好景気は本当なのか

 日経平均株価は9日、33年ぶりの高値を記録した。同日の終値は3万3763円で、バブル経済後の最高値を記録している。日経平均は令和2年の新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大以降、長期的な上昇傾向が続いている。


 民間の平均給与は令和3年、令和4年と2年連続で2%程度上昇し、平均賞与の伸び率も2年連続で4%を超え、令和4年は平均給与、平均賞与ともに平成26年以降の最高値を記録している。


 日経平均株価と民間平均給与という2つの指標を見れば、景気はここ数年では間違いなく好調のように見える。


 しかし、国民はそうした指標の向上と裏腹に、好景気を実感できていない現状が存在している。ガソリンのトリガー条項について積極的に発信する国民民主党や、積極財政を街頭で主張するれいわ新選組などの支持率が上昇傾向にあるのも、国民の経済不満を示す証拠だ。


 国民が好景気を実感できない理由はどこにあるのか。


 消費者物価指数によれば、令和2年を100としたときの令和4年12月は104.1で平均給与の伸び率とほぼ同じ伸び率を記録している。実際に給与が増えても、日常生活で使用する品物やサービスの価格が同様の推移を辿っていることで、手元に残る金額が増えず、景気の実感を得られなくなっているのではないだろうか。


 また、貧困率も景気を実感できない理由の1つにあげられる。昭和60年と比較して、平成30年の相対貧困率は3.7%上昇している。子どもの貧困率も、同時期で3.1%上昇している。貧困率はひとり親家庭を除き、平成9年から大きな変化はないが「平均」が上昇しても、最下層の割合は変わらず、これまでの高所得層などの賃金が上昇しているのではいか。


 そのほかにも少子高齢化に伴う現役世代の減少と社会保障費の負担増大も、経済面での負担を大きくしているといえる。平成12年に78.4兆円だった社会保障給付金は、令和5年の予算ベースで134.3兆円と倍近くまで増加している。平成12年の15~64歳の生産年齢人口は8622万人であったが、令和3年には7450万人と1000万人以上減少している。


 また、NHKの報道では、実質賃金は20カ月連続のマイナスであると報道された。これは岸田内閣22カ月の内、90%を占めている。経済面が復調したとはとても判断することはできない。


 このように、日経平均株価や民間平均給与が上昇しても、人口減少に伴う社会保障費の負担増加や、給与上昇に追い付いてくる消費者物価指数の上昇、相対的貧困率が減少しないなどの点から、国民が好景気を実感できないということが推察できる。こうした指標の回復が岸田政権に求められることだ。


 指標を除いても、若者による「闇バイト」事件報道の増加や「ホスト狂い」や「立ちんぼ」「トー横」などの若年層の社会問題の報道増加などは、経済的な問題で事件を起こしている例もあり、国民の経済への不満増加の一因となっている可能性がある。このような社会問題の解決も景気の実感を得るのに必要なものではないか。

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