朝日新聞社の「報道と人権委員会」は24日、平成29年11月10日付朝刊の「日本の医師・病院に株提供 租税回避地の医療機器メーカー/病院、医療機器を治験(東京本社最終版)」について、公正さを欠くなどとする見解を公表した。朝日新聞は翌日25日付朝刊でこの旨を公表した。
朝日新聞社の「報道と人権委員会」は朝日新聞社の報道で生じた人権問題の救済を図る第三者機関で、専門家によって構成されている。記事で報じられた病院の申し立てによって本件についての調査が行われた。
委員会の多数意見は「記事が指摘した事実関係はおおむね誤りはないが、見出しや前文などから受ける印象の下で本文を読む一般読者の通常の読み方からすれば『同病院が企業の利益になる治験の見返りに株の提供を受けた、もしくはその疑いが強まった』との印象を持つと判断。朝日側がその根拠を示しておらず、推測に留まっている。病院の実名や写真の掲載は倫理的に非難されるものだとする印象を強めている」としていている。
朝日新聞側は反論として「たとえ株提供が治験の見返りでなかったとしても、この場合、同病院とメーカーは外観上、利益相反にあたり、記事は、この点について問題提起をしたものだ」などと主張した。
委員会は「利益相反は幅広い概念。朝日側がどう捉えているか明確にして異なる捉え方との違いを示すべきだったのに記事で説明がない」と結論付けた。
朝日新聞5月25日付朝刊に記載されている病院理事長の談話によると「私から見ると、利己心からの取材はいかに当院が誠実に対応しても利己的記事にしかならなかった点は大変残念です。今後、記者を信じて取材に応じることはできなくなりました。」と述べている。
朝日新聞の多賀谷ゼネラルマネージャー兼東京本社編集局長は「各御意見の趣旨を真摯に受け止めます。記事でお示しした事実関係については、おおむね誤りはないとの見解は頂きましたが、公正な報道を目指して今後も努力を重ねていきます。記事の構成や見出し、写真などの扱いについて十分配慮してまいります。」と述べている。
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